「夫と性格が合わず離婚したいけれど、そんな理由で離婚できるのかな?」と悩んでいませんか?結論、性格の不一致を理由に離婚することは可能です。実際に性格の不一致を理由に離婚している夫婦はたくさんいますので、まずはご安心ください。

この記事では、性格の不一致の具体例や離婚する際の流れについてお伝えします。できるだけスムーズに離婚手続きを進められるよう、正しい知識を学んでおきましょう。

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性格の不一致とは?

性格の不一致とは、性格や気質、価値観、考え方などが相手と合わないことをいいます。夫婦であっても、もともとは他人。生まれも育ちも異なるため、性格の不一致が生じるのは当然のことです。

そんななかで相手を思いやる気持ちや相手を認める気持ちをもてないと、夫婦間に大きな溝が生じてしまいます。一緒に暮らすことに苦痛を感じたり、相手の言動を不愉快に感じたりするようになってしまいます。

性格の不一致は法的に定められた言葉ではなく、その定義や解釈は人それぞれです。そもそも性格や気質、価値観なども人によって千差万別であるため、性格の不一致も夫婦の数だけ存在します

性格の不一致の具体例

性格の不一致が生じやすいシーンと、考え方の違いにおける例を見ていきましょう。

性格の不一致が生じやすいシーン 具体例
金銭感覚やお金の使い道 将来のためのお金を貯めたいvs今を楽しくするためにお金を使いたい
休日の過ごし方 休日は家族で一緒に過ごしたいvs自分の時間を過ごしたい
マナーや生活態度 部屋をキレイに保ちたいvsある程度散らかっていても気にならない
子どもの教育方針 子どもに習い事をたくさんさせたいvs習い事はさせたくない
親族との付き合い方 親族との付き合いはしっかりすべきだvsほかに用事があったらそこまで優先させたくない

ここで紹介したのはほんの一例です。いろいろなケースがありますので、もちろん上記のシーンにあてはまらないケースでも性格の不一致に該当する可能性はあります。

性格の不一致は離婚理由の中でダントツ

離婚理由の中でもっとも多いのが「性格の不一致」です。裁判所が公表している司法統計によると、性格の不一致による離婚は夫からの申し立て・妻からの申し立てのどちらでも最多になっています。夫からの申し立て・妻からの申し立て、それぞれの離婚理由の上位3つは以下を確認してください。

【夫からの申し立て:総数17,918件】

離婚理由 件数
1位 性格の不一致 11,030
2位 異性関係 2,547
3位 浪費 2,218

【妻からの申し立て:総数47,807件】

離婚理由 件数
1位 性格の不一致 18,846
2位 暴力 10,311
3位 異性関係 7,987

夫からの申し立てのうち60%以上、妻からの申し立てのうち40%近くが性格の不一致を理由に離婚していることがわかります。

参考:裁判所 – 司法統計

性格の不一致で離婚できる?

性格の不一致で離婚する夫婦が多いことからもわかるとおり、性格の不一致を理由に離婚することは可能です。ただし性格の不一致で離婚できるのは、話し合いで離婚手続きを進める協議離婚や調停離婚の場合に限られます。

これは、性格の不一致が法的に認められる離婚理由ではないためです。話し合いがまとまらず裁判に進むことになると、性格の不一致だけでは離婚できません。

性格の不一致で離婚する流れ

正確の不一致で離婚する場合の流れについて、詳しくお伝えします。

まずは相手と話し合う(協議離婚)

離婚したいと思ったら、まずは夫婦間での話し合いが必要です。折を見て離婚したい意思を伝え、話し合いをスタートさせるところから始めてください。離婚を切り出す際は以下のことをまとめておくとよいでしょう。

・離婚したい理由
・希望の離婚条件(子どもの親権・養育費・面会交流・財産分与・年金分割について)

準備をしておくことで、離婚に応じてもらいやすくなったり、自分に不利な条件になったりすることを防げます。

また離婚の話し合いをする際は、感情的にならないことも大切です。話し合いをスムーズに進めるためにも冷静な態度を意識しましょう。

協議離婚合意書を作成して離婚届けを提出

夫婦間の話し合いで離婚することになったら「協議離婚合意書」を作成します。協議離婚合意書とは、離婚条件についてまとめた書類のことです。口約束でも法的には問題なく離婚できますが、後々トラブルになってしまうリスクがあります。とくにお金関係はトラブルになりやすいため、証拠という意味でも協議離婚合意書を作成しておきましょう。

さらに信頼性を高めたいのであれば、協議離婚合意書を「公正証書」にしておくのもおすすめです。公正証書とは、公証人と呼ばれる法律の専門家に作成してもらう書類のことで、証拠としての力が強いのが特徴です。「強制執行認諾条項」を設けておくと、慰謝料や養育費などの支払いが滞った際、すみやかに強制執行の手続きができます。慰謝料や養育費の支払いなどが発生する場合は、「強制執行認諾条項付き公正証書」にしておくことをおすすめします。

書類の作成ができたら離婚届を役所に提出し、離婚を成立させましょう。

合意できなければ離婚調停を申し立てる(調停離婚)

夫婦間の話し合いで合意できなければ、調停を申し立てることになります。申立書や夫婦の戸籍謄本などの必要書類を用意し、家庭裁判所に提出すれば「離婚調停」を申し立てることが可能です。

調停では2人の調停委員と裁判官が夫婦の間に入り話し合いを進めます。基本的に相手と顔を合わせることなく話し合いを進められるので、相手と顔を合わせるのが苦痛というケースでも話し合いを進めることが可能です。調停委員を間に挟んでの話し合いとなるため、口頭だけでの主張だと言いたいことが正しく伝わらないこともあります。誤解なく主張を伝えるためには、自分の言いたいことを陳述書にまとめておくとよいでしょう。

陳述書を書く際は、客観的事実を書くことが大切です。感情をあらわにした文章は避け、具体的な数字を提示したり事実を端的に記載したりすることを意識しましょう。

調停でも合意できなかったら離婚裁判になる

調停でも合意できない場合は裁判をすることになります。ただし裁判になった場合、単なる性格の不一致だけでは離婚が認められません。

ここからは、裁判で離婚が認められるケースや、裁判離婚をする際の注意点について紹介します。

離婚裁判になると「法定離婚事由」が必要になる

裁判で離婚しようとすると、法的に認められる離婚理由が必要になります。法的に認められる離婚理由のことを「法定離婚事由」といい、以下の5つが該当します。

法定離婚事由 説明
不貞行為 ・不倫のこと
・不貞行為によって婚姻関係を破綻させたかどうかがポイントになる
悪意の遺棄 ・理由なく、一緒に暮らしていない、協力して生活していない状態のこと
・たとえば、生活費を払ってくれない、家を出たまま帰ってこないなどが該当する
3年以上の生死不明 ・生きているのか死んでいるのかわからない状態が3年以上続くこと
・所在はわからないが生存が確認できる状態は該当しない
回復の見込みがない強度の精神病 ・「一緒に暮らし協力して生活する」という夫婦の義務を果たせないような精神病であること
・アルコール依存症で離婚を認められる可能性は低い
その他婚姻を継続し難い重大な事由 ・さまざまな事由が含まれる。たとえば、性生活の不一致、過度の宗教活動など
・個々の事情について裁判官が判断する

上記5つに含まれない場合、裁判で離婚することはできません。

性格の不一致が理由だけど離婚裁判できるケース

性格の不一致だけが理由の場合、裁判で離婚を認められることはありません。しかし性格の不一致が原因で、夫婦関係が破断し相手が不倫している、暴力を受けているといったケースでは離婚が認められやすくなります。このようなケースでは慰謝料の請求も可能です。

また性格の不一致が理由で別居している場合、別居期間が長くなると裁判で離婚が認められやすい傾向があります。離婚が認められやすくなる期間は5年が目安です。

このように性格の不一致が理由で、法定離婚事由に該当する場合や5年以上別居している場合は、裁判で離婚が認められることもあります。

離婚裁判をする場合は証拠が重要

裁判をおこす場合は証拠が重要です。話し合いで離婚成立をめざす調停の場合、夫婦の合意が優先されるため、客観的な証拠は必須ではありません。

しかし裁判の場合は、自分の主張を裏付ける客観的な証拠を裁判所に提出し、それをもとに裁判官が法定離婚事由に該当するかを総合的に判断することになります。裁判官に離婚原因の存在を認めてもらうために、証拠が重要になります。

立証したい離婚原因とその証拠例を以下にまとめます。

立証したい離婚原因 証拠例
不貞行為 ・不倫相手とのメールやLINEのやりとり
・クレジットカートやETCの履歴
・不貞行為を認める発言をおさめた録音データ
暴力 ・診断書
・ケガをした部位の写真
・暴力について記した日記やメモ
別居 ・日記やメモ
・離婚についてやりとりしたメールやLINE
・異動日がわかる住民票(別居する際、住民票を転居先に異動させておくと別居の証拠になる)

調停離婚の場合に証拠は必須ではないとお伝えしましたが、調停を有利に進めたり裁判になった際離婚しやすくしたりするためには、早めに証拠を集め始めることが大切です。「相手が合意してくれないかも……」と不安がある方は早い段階から証拠を集めておきましょう。

性格の不一致による離婚で慰謝料請求は可能?

性格の不一致だけが理由で離婚する場合、慰謝料を請求することはできません。慰謝料とは、法律に違反した行為で相手に肉体的・精神的な苦痛を与えた場合に発生する賠償金のこと。性格の不一致はどちらかの行為が法律に違反しているわけではないため、慰謝料の対象にはなりません。

ただし性格の不一致が理由で、不貞行為や暴力、モラハラ、悪意の遺棄などがあった場合は、慰謝料を請求することができます。

性格の不一致で離婚するときに決めておきたいこと

離婚する際は以下について決めておくことが大切です。

・財産分与
・親権
・養育費

これらはすべて性格の不一致が理由である場合に限らず、離婚する際には決めておくべき事項です。ひとつずつ確認していきましょう。

財産分与

離婚する際は財産分与について話し合っておく必要があります。財産分与とは、婚姻中に夫婦で築き上げた財産をわけることをいいます。預貯金や現金のほか、生命保険や年金なども財産分与の対象です。またプラスの財産だけでなく、家のローンや借金といったマイナスの財産も財産分与の対象です。

財産分与でトラブルになりやすい「家の財産分与」についてはこちらの記事で解説しています。
離婚時の家の財産分与|ローンありで夫が住む・妻が住む場合

親権

未成年の子どもがいる場合、親権者を決めなければ離婚することはできません。離婚届けには親権欄があり、父母のどちらかを親権者として記載しなければ離婚届けを受理してもらえないため注意しましょう。

親権の決め方や手続きについてはこちらの記事で解説しています。
離婚のときに親権はどうやって決まる?決め方や手続きのまとめ

養育費

未成年の子どもがいる場合、養育費についても決めておく必要があります。決めなければ離婚できないわけではありませんが、離婚後に決めようとしてもうまく話し合えないケースも多いでしょう。離婚時に決めておくことをおすすめします。

養育費の相場や決め方についてはこちらの記事で解説しています。
養育費を3分で解説!相場や決め方、未払防止方法のまとめ

性格の不一致で離婚したい場合はまず自分の気持ちを相手に伝えよう

性格の不一致を理由に離婚したい場合は、話し合いで合意できるよう、相手と冷静に話し合ってみましょう。話すこと自体が精神的に大変かもしれませんが、離婚するためには離婚したい思いや理由を相手に伝える必要があります。

相手が前向きに応じてくれる場合は、夫婦関係を改善することもできるかもしれません。相手が話し合いに応じない場合は調停手続きに進む選択肢もあります。まずは相手に自分の気持ちを伝えることからはじめてみてください。