離婚することが決まっても、特に養育費に関することはなかなか話し合いを進めにくいですよね。しかし大切なお子さまの人生にも関わることですから、お互いが納得できる金額に決めるために、まず相場を知ることが肝心です。そこで厚生労働省の調査や裁判所の司法統計、養育費算定表を使って相場を知り、年収・子どもの人数別にシミュレーションしてみましょう。

たった4年で80%が養育費を受け取れなくなります。

しっかり決めても受取れていない現状があります。

養育費を確実に受取る方法に養育費保証があります。

 

養育費とは?

離婚する際に子どもがいる場合は、夫婦のどちらが子どもの親権を持つのかを決める必要があります。子どもと一緒に暮らす親は、別れて暮らす親に対して養育費を請求することができます。

養育費とは、子どもを監護・教育していくうえで必要な費用のことです。具体的には、生活費や教育費、医療費など、子どもが社会的・経済的に自立するまでに必要な費用が当てはまります。

養育費の支払い義務は、子どもが最低限の生活を維持できる程度のものではなく、それ以上の支払いが求められる「生活保持義務」とされています。生活保持義務とは、親(扶養者)と同程度の生活水準を子ども(被扶養者)にも保障するという強い義務で、仮に扶養者が自己破産などの債務整理をした場合でも支払い義務が免除されるものではないとされています。

しかし、早急に離婚したかった場合など、養育費についてしっかりと話し合いをせずに離婚の合意をしてしまうケースもあります。そのような場合でもあとから養育費を請求することはできるうえ、仮に一度養育費の受け取りを拒否した場合でも、途中から養育費を請求することもできます。

途中から養育費を請求する場合、まずは元パートナーと話し合うことが原則です。それが難しいときは、家庭裁判所に養育費請求調停の申し立てをして調停委員を介して話し合いをすすめます。それでも合意に至らない場合は審判手続きに移行し、裁判官が養育費の金額などを決定します。

厚労省や裁判所の調査による養育費の平均相場とは?

養育費の基本的な考え方を確認し、そのうえで厚生労働省の調査や裁判所の司法統計を参考に養育費の相場をみていきましょう。

養育費は基本的に夫婦間の話し合いで決定

養育費の金額は「非監護親(養育費の支払者)の生活水準と同程度の水準を保てるように支払うべきもの」と考えられていることから、養育費についての内容は離婚の際に夫婦間で時間をかけて話し合うことが基本です。

話し合いで決まらない場合は、調停で具体的な金額や支払方法を話し合い、それでも決まらない場合は審判、または離婚訴訟に付随する形で裁判所に判断を求めることもできます。

しかし、これから離婚をする夫婦の話し合いは穏やかに進まないことも多く、「なるべく損をしたくない」という気持ちを双方で抱きがちでもあるため、決めることは簡単ではありません。そこで参考になるのが「養育費の相場」です。

養育費の月額平均相場は「4万3,707円」

まず参考にしたいのは、厚生労働省の「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査の結果」による養育費の相場です。子どもの人数別に母子世帯が受け取っている平均月額をまとめた調査があるため、以下の表で紹介します。

子どもの人数 養育費の金額
総数 4万3,707円
1人 3万8,207円
2人 4万8,090円
3人 5万7,739円
4人 6万8,000円
不詳 3万7,000円

参考:「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査結果報告(P63)」

この調査から、全体の養育費の相場は4万3,707円であること、子どもの人数が増えたからといって受け取れる金額も倍になるわけではないことがわかります。

ちなみに、この平均額はあくまでも「養育費を受け取っている、または受けたことがある」世帯のものであり、「養育費を受けたことがない」という世帯は全体の56%を占めていることも知っておくべき点のひとつです。

父子家庭世帯の平均相場

同調査では、父子世帯が受け取っている養育費の平均月額も掲載されており、子どもの人数ごとの養育費は以下のようになっています。

子どもの人数 養育費の金額
総数 3万2,550円
1人 2万9,375円
2人 3万2,222円
3人 4万2,000円

総数でみると母子世帯のほうが父子世帯よりも約1万円多く受け取っていることがわかり、子どもの人数が増えても母子世帯に比べ父子世帯が受け取る養育費は少ないことが見て取れます。

司法統計によれば月額2~4万円が最多に

養育費の相場は、裁判所による「司法統計」で知ることもできます。司法統計によると、支払者が父親の場合に、支払者から受取者へ支払われる養育費の金額ごとの割合は以下のとおりになっています。

養育費の金額 割合(%)
1万円以下 14.5%
1万円超2万円以下 32.6%
2万円超4万円以下 38.9%
4万円超6万円以下 8.8%
6万円超8万円以下 2.4%
8万円超10万円以下 1.2%
10万円超 1.5%
金額不定 0.1%

このデータから、養育費として支払われている金額で最も多いのは2万円超4万円以下、次いで1万円超2万円以下であり、1万円超から4万円以下が全体の約70%を占めていることがわかります。さらに、1万円以下も合わせると4万円以下が86%を占めているため、厚生労働省の調査結果とおおむね近いことがわかります。

また、同調査では子どもの年齢別による養育費額も掲載しています。年齢による金額の差はそれほど大きくはないものの、子どもが15歳以上になると4万円以上を支払っている割合が高くなる傾向にあります。

具体的には、4万円超6万円以下は全体の約14%、6万円超8万円以下は約5%、10万円超は約3%を占め、上の表で紹介したデータと比較するとそれぞれ約2倍になっています。この要因として、年齢が大きくなると進学にかかる費用が増加すること、塾などの習い事にかかる費用が高額になることなどが考えられます。

参考:裁判所「子の監護事件のうち認容・調停成立の内容が養育費・扶養料支払の取決め有り/(父が支払者)の件数―支払額別子の性別及び年齢別―全家庭裁判所」

養育費相場の目安にできる「養育費算定表」とは?

厚生労働省の調査と裁判所の資料だけでは養育費の金額がまとまらない場合、「養育費算定表」という資料を活用する方法もあります。算定表をもとに養育費の相場を出すことで、離婚を考えている夫婦がお互いに納得して金額を決められる可能性があります。

ただし、子どもに必要な養育費は世帯によって異なることは覚えておきましょう。毎月の生活費として必要な金額のほかにも、たとえば子どもが公立と私立のどちらに進むのか、ローンの支払いはあるのか、父母の収入はどのくらいかなど、家計状況はさまざまです。そのため、これから紹介する養育費算定表はあくまで参考値であることにご注意ください。

「養育費算定表」が令和元年に改定され増額に

養育費算定表は、もともと養育費を簡易的かつ迅速に算出するために、これまでの統計データなどを基に作成されたものです。

2003年の「判例タイムズ(法律の専門雑誌)」によって初めて発表されましたが、算定表の内容は2003年当時の社会環境を踏襲しており、最近では現在の社会・経済情勢の変化や子どもの養育にかかる費用の増加などといった時代の流れに即していないと問題視する声が少なくありませんでした。また、算定表で算出される金額の低さから、シングルマザー世帯の貧困化の要因のひとつになっているのではないか、という指摘もみられていました。

そういった経緯があり、2019年12月に新しい養育費算定表が発表されることになったのです。改正内容としては、全体的に養育費の基準が引き上げられただけでなく、特に15歳未満の子どもにかかる養育費が増加されました。養育費算定表は裁判所の公式サイトに掲載されており、誰でも閲覧することができます。
裁判所「養育費・婚姻費用算定表」

養育費の金額を算出する手順・流れ

養育費算定表を利用して養育費を算出する手順を説明します。

まず、養育費算定表には次のふたつの表が記載されています。
【1】養育費:子どもの人数と年齢に応じた表(表1~9)
【2】婚姻費用(※):夫婦のみの場合の表(表10)、子どもの人数と年齢に応じた表(表11~19)

※婚姻費用:夫婦が別居していても離婚していない場合に、夫婦や未成熟子の生活費などの婚姻生活を維持するために必要な一切の費用のこと。

手順1:年収を求める

いずれの表を利用する場合でも、最初に支払者と受取者の年収を求める必要があります。給与所得者と自営業者とでは計算方法が異なるため、それぞれ説明します。

給与所得者 ・源泉徴収票の「支払金額」に記載されている金額

・確定申告していない収入がある場合、その金額も加算して計算する
自営業者 ・確定申告書の「課税される所得金額」に記載されている金額

・基礎控除、青色申告控除などの実際に支出されていない費用は加算して計算する

注意点として、「児童扶養手当」や「児童手当」は子どものための給付金であるため、受取者の年収には含めないようにしましょう。

手順2:表を選択し該当する養育費を確認する

子どもの人数と年齢から、該当する表を選択します。養育費算定表は、縦軸には支払者の年収、横軸には受取者の年収が示されており、それぞれの年収額が交わる点を見ると支払者が支払う養育費や婚姻費用の月額の目安がわかります。

年収別・子どもの数別に養育費相場を比較

では、具体的な例を用いて養育費の相場をシミュレーションしてみましょう。シミュレーションのモデルケースとして、以下の条件をもとに表でまとめます。

・受取者:収入100万円(給与所得者)
・支払者:給与所得者と自営業者の2パターン、かつ、年収300万円/600万円/1,000万円の3パターンで紹介
・支払者の年収それぞれにおいて、子どもの年齢と人数は以下4パターンで紹介
 【1】子どもが1人(2歳)の場合
 【2】子どもが1人(15歳)の場合
 【3】子どもが2人(2歳、15歳)の場合
 【4】子どもが2人(15歳、16歳)の場合

支払者の年収が300万円のパターン
(1)支払者が給与所得者の場合

子どもの人数(年齢) 養育費の相場
2歳×1人 2~4万円
15歳×1人 2~4万円
2歳、15歳 4~6万円
15歳、16歳 4~6万円

(2)支払者が自営業者の場合

子どもの人数(年齢) 養育費の相場
2歳×1人 2~4万円
15歳×1人 4~6万円
2歳、15歳 6~8万円
15歳、16歳 6~8万円

支払者の年収が600万円のパターン
(1)支払者が給与所得者の場合

子どもの人数(年齢) 養育費の相場
2歳×1人 4~6万円
15歳×1人 6~8万円
2歳、15歳 8~10万円
15歳、16歳 10~12万円

(2)支払者が自営業者の場合

子どもの人数(年齢) 養育費の相場
2歳×1人 6~8万円
15歳×1人 10~12万円
2歳、15歳 12~14万円
15歳、16歳 14~16万円

支払者の年収が1,000万円のパターン
(1)支払者が給与所得者の場合

子どもの人数(年齢) 養育費の相場
2歳×1人 8~10万円
15歳×1人 12~14万円
2歳、15歳 14~16万円
15歳、16歳 16~18万円

(2)支払者が自営業者の場合

子どもの人数(年齢) 養育費の相場
2歳×1人 12~14万円
15歳×1人 16~18万円
2歳、15歳 20~22万円
15歳、16歳 22~24万円

このように、受取者と支払者の年収、子どもの人数や年齢によって養育費の相場は大きく異なります。なお、今回のシミュレーションでは子どもの人数が2人までを試算しましたが、養育費算定表には子どもが3人の場合の相場も掲載されています。

養育費算定表を利用して算出するときの注意点

繰り返しとなりますが、養育費算定表は子どもの人数や年齢によって見るべき表が異なるため、該当しない表を間違って選ばないように注意する必要があります。

また、支払者と受取者のいずれも「給与所得者か自営業者か」で数字が異なる点にも気をつけましょう。縦軸の左欄と横軸の下欄は給与所得の年収で、縦軸の右欄と横軸の上欄は自営業の年収となっていますので、見間違えないよう注意してください。

養育費が増額・減額されるケース

一度決めた養育費の金額は、一方の親の都合で勝手に変更できるものではありませんが、双方の親の合意が得られれば変更することができます。では、どのような場合に増額ができるのか、また、減額されてしまうのはどのような場合なのかについて解説していきます。

養育費が増額されるケース

養育費の増額が認められるケースとしては、主に以下のことが挙げられます。

・子どもが難病にかかった。また、大けがをしたなどで高額な医療費がかかる
・子どもが大学に進学することになった
・監護親(子どもと一緒に暮らす親)が失業、リストラなどで収入が大幅に減った
・監護親が病気やケガで長期入院、療養が必要になった
・非監護親(元パートナー)の収入が増えた

このように、子どもの医療費や進学に今まで以上にお金が必要になるケースや、自身が失業や病気などで収入が激減してしまうケースなどは、当初の養育費の取り決め時点では予測できないことが多いため、増額請求が通りやすい傾向があります。

また、元パートナーの収入が上がれば、同程度の生活水準を子どもに保障する義務があるので増額交渉がしやすくなると考えられます。

養育費が減額されるケース

反対に、以下のようなケースでは養育費が減額されることがあります。

・監護親が再婚して再婚相手と子どもが養子縁組をした
・非監護親が再婚して扶養家族ができた
・非監護親の収入が激減した
・監護親の収入が増加した

子どもと一緒に暮らしている親が再婚し、新しい親と子どもが養子縁組した場合は、一次的な子どもの扶養義務を負うのは再婚相手になるので、元パートナーの養育費支払い義務は二次的なものとなります。

また、元パートナーが再婚して扶養家族が増えた場合、これまでと同額の養育費を支払うことは難しくなることが多く、減額が認められる可能性がでてきます。ほかにも、元パートナーの収入が激減したり、自身の収入が増加したりした場合も、減額が認められる理由となります。

▶養育費の減額についてはこちらの記事でも詳しく解説していますので、併せてお読みください。
養育費の減額を求められた!減額が確定する例・しない例は?

離婚後に養育費の未払いが起きたら?

離婚に際して養育費の話し合いを行い、金額や支払い期間などについて夫婦間で合意を得られていても、徐々に養育費の支払いが遅れたり未払いが起きたりすることがあります。養育費の未払いが起こると、子どもの教育費や生活費などが不足する可能性が高くなるため、本章では未払い時の対応策について確認していきましょう。

法改正で未払いに対する罰則が強化された

養育費の未払いがあった場合、強制執行により元パートナーの財産を差し押さえることができます。その際、元パートナーがどのような財産を所有しているのかを調べるために、「財産開示手続き」で申告する制度があります。

これまでは、この手続きに元パートナーが従わなくても「30万円の過料」という軽い罰則が課されるだけでした。今後養育費を支払い続けるよりも30万円の過料を払うほうが安く済むことから、以前は過料を支払って責任逃れするケースがよく発生していたのです。

しかし、2020年4月から施行された「改正民事執行法」により、財産開示手続きに応じないまたは嘘を申告したときなどは、「6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科されることになりました。

このように、養育費未払いにおける厳罰化が法的に定められたことで、養育費の未払いを抑止する効果が期待できるようになっています。

▶養育費未払いの罰則については、こちらの記事で詳しく解説しています。
養育費未払いの罰則とは?逃げ得を防ぐ法改正の内容まとめ

養育費の未払いが起きた場合

養育費の未払いが起きた場合、離婚時に公正証書を作成したか、していないかで対応が異なります。本章ではそれぞれのケースごとに解説します。

公正証書がない場合

離婚時に公正証書を作成しなかった場合は、まず相手に養育費を早く支払うよう催促の連絡をします。連絡方法は電話でも書面でもどちらでも問題ありませんが、書面の場合は「内容証明郵便」にすると良いでしょう。内容証明郵便であれば、「いつどのような内容を誰から誰あてに送ったのか」が記録されるためです。

こちらからの連絡に返答がない、または支払い拒否の連絡を受けた場合などは、家庭裁判所に養育費調停の申し立てを行います。それでも相手が調停に出向かなかい、または支払いを拒否した場合などは、家庭裁判所の「履行勧告」や「履行命令」制度を利用しましょう。

履行勧告は、家庭裁判所から養育費の支払いを取り決め通りに行うよう勧告してもらう制度で、元パートナーに心理的な圧力をかけることが可能となります。しかし、法的な拘束力はないので必ずしも支払ってくれるとは限りません。

履行命令は、履行勧告をしても養育費の支払いが行われなかった場合に、裁判所が支払いを命じることができる制度です。法的な拘束力があり、違反すると10万円の過料が課せられます。

しかし、一般的には10万円よりも養育費の支払いのほうが負担は大きいため、相手が過料を支払い、養育費の支払いには応じないことがあります。ここで初めて強制執行制度を利用でき、元パートナーの給与などの財産を差し押さえて養育費の支払いとすることが可能となります。

公正証書がある場合

公正証書がないと強制執行に至るまで手間と時間がかかりますが、公正証書を作成してあればいきなり財産の差し押さえをすることができます。公正証書のほかにも、次のような強制執行力のある書面(債務名義)も有効です。

・確定判決
・調停調書
・審判調書
・和解調書 など

なお、公正証書については次章の「離婚後に養育費を確実に受け取るためには」で詳しく解説していきます。

▶養育費を支払ってくれないときの対処法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
相手が養育費を払ってくれない!公正証書あり・なし別の対応

【注意】養育費の請求には「時効」がある

養育費の請求はいつでもできるというわけではなく、「時効」があります。養育費の請求権が制限されないためにも、時効について確認しておきましょう。

養育費についての取り決めがない場合

離婚時に養育費について話し合いを行わなかった場合、子どもと一緒に生活している親が離れて暮らす親に請求したときから、養育費の請求ができます。

養育費の取り決めがあっても未払いになった場合

離婚時に養育費についての話し合いを持ち、合意が得られていたにもかかわらず途中から未払いになった場合、5年で消滅時効を迎えてしまいます。公正証書を作成した場合でも同様です。未払い分は遡って5年分しか請求できないため、未払いが発生した場合は速やかに支払い督促や強制執行などの手続きをとることが大切です。

調停や審判で養育費が決定した場合

養育費について夫婦間で合意が得られず、家庭裁判所の養育費調停・審判で決定した場合の消滅時効は10年です。10年というと長いようですが、未払い期間が長引くと子どもの教育費等への負担が大きくなりますので、早めに請求手続きをとることをおすすめします。

▶養育費の時効についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。あわせてご確認ください。
養育費にも時効がある!放置していると回収できない可能性も

養育費相場にまつわる疑問とその回答

ここでは、養育費相場に関する疑問・質問をQ&A形式で紹介していきます。

養育費を受け取ることができる期間はどのくらい?

養育費を受け取ることができる期間は、一般的に「子どもが20歳になるまで」が目安とされています。そもそも養育費とは「子どもを育てて自立させるために必要なお金」と捉えられるため、成人になると支払い義務がなくなります。

しかし、子どもが20歳を超えても支払者と受取者の間に合意があれば、20歳以降も受け取り続けることはできます。たとえば、子どもが大学に進学し引き続き学費が発生する場合や、子どもが何らかの疾病にかかり社会的に自立できないといった場合などは、20歳以降も継続されることがあります。

反対に、子どもが高校を卒業してすぐに自立した場合や、支払者が再婚して養子縁組をした場合などは、受取者は子どもが20歳になるのを待たずに養育費が受け取れなくなる可能性もあります。

養育費の金額を再協議することはできる?

一度取り決めた養育費では子どもに十分な教育や生活を提供できない場合、養育費の金額について再協議をすることができます。支払者との合意が得られれば増額も可能となりますが、反対に支払者からの再協議の申し入れがあり養育費が減額されてしまう可能性もあります。

養育費を減額される例としては、支払者が再婚して家族を養う必要がでた、疾病などで収入が減少したなどが該当します。また、受取者の再婚、収入の増加なども減額の再協議となるケースがあります。再協議の結果、合意が得られないときは、家庭裁判所に調停の申し立てを行うことになります。

養育費の取り決めで最低限決めておくべきことは?

養育費の取り決めで最低限決めておくべき項目は次の4つです。

・金額:いくら受け取れるのかという具体的な金額
・支払期限:子どもが何歳になるまで受け取れるのか
・支払時期:毎月1回ずつの支払い、年払い、一括払いなど
・支払方法:預金口座への振込、現金受け渡しなど

これらをきちんと決めておくことで、養育費の受け取りがスムーズにすすみます。

離婚後に養育費を確実に受け取るためには

元配偶者と養育費の取り決めをしても、本当に約束通り払ってくれるのかという不安は残るものです。養育費の支払いが滞ってしまうと、子どもの生活のみならず受取者自身の生活にも支障をきたす可能性があるでしょう。

離婚してから養育費をより確実に受け取るためには、「離婚給付契約公正証書」を残すこと、「養育費保証サービス」を利用することの2つの方法があります。

「離婚給付契約公正証書」を残す

「離婚給付契約公正証書」とは、離婚における慰謝料や財産分与、自立していない子どもの養育費や親権、交流などについて定めた公正証書のことをいいます。離婚の際に、公正証書ではなく当事者のみで「離婚協議書」を作成する場合もありますが、「離婚協議書」では養育費等の不払いがあった場合に、相手方の給料を差押えたりする強制執行手続きを直ちに執ることはできません。そのため、強制執行認諾文言のある「離婚給付契約公正証書」を作成することをおすすめします。

離婚給付契約公正証書は、当事者の両方(又はその代理人)が公証役場に出向き、公証人が面接し双方の意思を確認したうえで作成します。打ち合わせはどちらか片方のみでも対応してもらえますが、最終的な確認の際には当事者の両方が参加しなければ作成することができません。内容を確認後、各自が署名・捺印し、離婚給付契約手数料を支払えば手続きは完了です。

養育費保証サービスを利用する

養育費保証とは、養育費保証会社に保証料を支払って契約しておくことで、元配偶者からの養育費の支払いが止まってしまったときに、元配偶者の代わりに保証会社が養育費を立て替え払いしてくれるサービスのことをさします。

養育費保証サービスを利用すると、養育費を受け取れないというリスクを回避することができるだけでなく、支払者への催促も保証サービス側が行ってくれるため直接相手に連絡をしなくて済み、心理的なストレスを軽減することができます。また、法的手続きを必要としないため、養育費の不払いがあっても回収までのスピードが速いというメリットもあります。

おすすめのサービスは「養育費保証PLUS」

養育費保証サービスを提供する企業はいくつかありますが、中でも株式会社Casaが提供する「養育費保証PLUS」がおすすめです。

おすすめするポイントとして以下のことが挙げられます。
・保証上限は最長36か月
・部屋探しや仕事探しのサポートが充実

養育費保証は最長12か月までと決めている企業が多いですが、「養育費保証PLUS」は最長36か月まで保証してもらうことができます。

また、株式会社Casaは家賃債務保証事業における不動産会社のネットワークを活かし、シングルマザー向けの物件を多く紹介することが可能で、連帯保証人がいない人でも部屋を借りやすくなるのが特徴です。

さらに、「一般社団法人 日本シングルマザー支援協会」と提携しているので、仕事探しのサポートを得られることもポイントのひとつです。

養育費保証PLUSを利用できる人
養育費保証PLUSを利用できる人は以下のとおりです。
・公正証書や離婚協議書、調停調書などを持っている人
・現在、決められた養育費を受け取っている人
・支払い義務者の勤め先情報などがわかる人

養育費保証PLUSの利用料
養育費保証PLUSの利用料はこちらです。

初期費用 月額養育費の100%
月額費用 月額養育費の3%(※最低月額保証料 1,000円)
法的手続費用 養育費請求に必要な法的手続き費用をサポート
保証上限 債務名義(※)なし:24か月、債務名義あり:36か月

※債務名義:調停調書・審判書や強制執行認諾文言付公正証書といった、裁判所や公証役場などが債権(養育費請求権)の存在を公的に証明し、強制執行を可能とする文書のこと

離婚後の養育費相場を理解して、確実に受け取る準備を

離婚後の養育費の目安を知るには、厚生労働省の調査結果や裁判所の司法統計、養育費算定表などが参考になりますが、家庭状況はそれぞれ異なるため実情に即した金額に設定することも大切です。金額が決まったら「離婚給付契約公正証書」を作成したり、養育費保証サービスを利用したりして、確実に養育費を受け取れる対策をとることをおすすめします。