子ども連れで離婚をする場合、配偶者から養育費を受け取ることができます。2022年4月1日から成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられましたが、養育費を受け取ることができる年齢はどうなるのでしょうか?また、養育費の取り決めをした後に不払いになってしまうことがないよう、養育費を確実に受け取れる方法も確認しておきましょう。
養育費が継続的に支払われている人はたったの24%。書面を交わしても支払われていない現状があります。
●養育費を確実に受け取りたい
●パートナーと連絡を取りたくない
●未払いが続いた時の手続きが心配
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目次
そもそも養育費はなぜ支払う必要がある?
養育費は、離婚後に子どもと同居をしないほうの親が、子どもに支払う義務を負うものです。これは、「離婚しても親であることには変わらないため当然に支払うべき」といった一般的な共通認識で決められているものではなく、法律で義務付けられていることです。
民法第877条の1項に「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。」という「扶養義務」についての定めがあり、子どもへの養育費の支払い義務の法的根拠とされています。
扶養義務には「生活保持義務」と「生活扶助義務」があります。子どもに支払う養育費は「生活保持義務」に該当し、「子どもが、子どもと同居しないほうの親と同程度の水準生活を保てるようにする義務」という、強い効力を持った義務を負うことが決められています。いっぽうの生活扶助義務は、扶養義務者の余裕のある範囲で援助すれば良いという比較的弱い義務となります。
生活保持義務があることから、仮に元配偶者が失業や自己破産などをしても、養育費は支払わなくてはならないと考えられています。そのうえ、このような法的な義務により、養育費は「払いたくないので払わない」「少額だけしか支払いたくない」といったことは認められず、妥当な金額を支払わなければなりません。
とはいえ、子どもと同居する親が一方的に決定した金額を支払うというわけではなく、養育費は離婚の話し合いの際に夫婦間で決めることが原則です。もし話し合いで決まらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てて決定してもらいます。
なお、養育費の金額を決める際には、一定の目安があるとお互いに納得しやすいものです。その際に利用できるのが「養育費算定表」です。養育費算定表とは、親の収入や子どもの人数・年齢によって月々いくら支払うのが適切なのかの目安を表した資料で、実際に家庭裁判所の調停でも利用されています。インターネット上でだれでも閲覧することができるので、養育費を決める際の目安として活用すると便利です。
▶夫婦で養育費の話し合いをする際に決めておきたい項目の詳細や、養育費算定表の詳しい説明はこちらの記事で紹介しています。
養育費の決め方|協議離婚をスムーズに終わらせるポイント
養育費は何歳まで?支払う期限について
養育費は子どもが何歳になるまで支払ってもらえるのでしょうか。実は、「子どもが〇〇歳まで支払う」といった具体的なところまで法律で決められているわけではないため、夫婦の話し合いの結果によりけりであるというのが実情です。
ただし、一般的に養育費は「子どもが自立するまで」と考えられることが多いため、大学卒業までとなる22歳まで支払うケースや、成人を迎える20歳になるまで支払うケースなどが比較的多く見られます。近年は大学に進学する子どもが増えていることもあり、大学卒業まで養育費を支払うケースが多くなっています。その一方で、高校卒業後に就職する場合には18歳までにするケースもあります。
いずれにしても、子どもが自分の力で生活できるようになるまでは養育費が大きな役割を果たすため、それまでの期間はきっちりと支払う必要があるといえます。
なお、養育費の支払い期限については離婚時の話し合いで明確に決めておくことが大切です。単に「子どもが成人するまで」といったあいまいな条件にしておくと、考えのすれ違いなどからトラブルになることがあるためです。支払期限は、「大学を卒業するまで」といったように具体的に決めることが大切です。
成人年齢が引き下げに!受け取り期間は変わる?
冒頭で述べたとおり、2022年4月1日から、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。それに伴い、養育費の受け取り期間にはどのような影響が出るのでしょうか。もしも養育費の受け取り期間を「成人するまで」としている場合、18歳までしか支払ってもらえなくなるのでしょうか。
実は、法務省の公式サイトでは、この成人年齢引き下げが養育費の受け取り期間に与える影響についての見解を掲載しています。そこで、すでに養育費の取り決めをしている場合と、これから取り決めをする場合とで、分けて解説していきます。
すでに養育費の取り決めをしている場合
すでに元配偶者と養育費の取り決めをしている場合、取り決めをした時点では成人年齢はまだ20歳であるはずです。この場合、成人年齢が18歳に引き下げられても、これまで通り20歳まで支払い義務が続くとされています。つまり、成人年齢が引き下げられたからといって、18歳で打ち切られてしまうという心配はないと考えられます。
これから養育費の取り決めをする場合
結論からいうと、これから養育費の取り決めをする場合、18歳以降も養育費を受け取ることは可能です。成人年齢が引き下げられたとはいえ、基本的に18歳時点ではまだ大学生になったばかりであるためです。
そもそも養育費は子どもがまだ経済的に自立できない場合に支払われるものなので、子どもが成年を迎えたとしても、経済的に未成熟であれば養育費を支払う義務があるといえます。そのため、成人年齢が18歳に引き下げられたからといって、必ずしも養育費の支払期間が「18歳に達するまで」になるわけではありません。
子どもが大学などに進学する場合は学費の支払い負担が大きくなるため、これから新たに養育費の取り決めをする場合は、後のトラブルを避けるためにも「22歳に達した後(大学卒業年度)の3月まで」といったように、はっきりと支払い期限を定めると良いでしょう。
参考:法務省 – 成年年齢の引下げに伴う養育費の取決めへの影響について
養育費を確実に受け取るポイント
離婚をする際に配偶者と養育費についてきちんと話し合って一度は合意しても、徐々に養育費の支払いが遅れたり滞ったりしてしまうことがあります。養育費は離婚後の大切な子どものためのお金なので、支払われなくなると家計は大きなダメージを受けてしまいます。
そこで、養育費を確実に受け取るためのふたつのポイントを紹介します。
強制執行認諾文言のある公正証書を作成する
離婚時に養育費や財産分与などを取り決めてお互いに合意したら、その内容は離婚協議書という文書にしておくことが多いです。離婚協議書は話し合いのまとめを記載したものなので大切な書類のひとつですが、できたらそれよりも法的効力の強い公正証書を作成しておくことをおすすめします。
養育の支払いについて公正証書に記載し、強制執行認諾文言を付しておけば、万が一、相手からの養育費の支払いが滞っても裁判を起こさずに元パートナーの財産を差し押さえることができます。
ほかにも、公正証書として残すことで「言った・言わない」のトラブルを避けることができたり、公正証書を作成した事実により「養育費をきちんと支払わなければならない」という気持ちを元配偶者が保ちやすかったりというメリットもあります。また、公正証書は20年間保管されるため紛失予防にも役立ちます。
▶養育費を強制執行する際の流れや準備するものなどは、こちらの記事で詳しく説明しています。
養育費は強制執行で取り戻せる!流れや費用などを確認しよう
養育費保証サービスを利用する
先述のように、養育費は公正証書を作成しておくと不払い時に相手の財産の差し押さえをしてもらえますが、公正証書を作成するには当事者の両方が出向く必要があるため、配偶者の協力がなければ作成することができません。さまざまな事情から公正証書を作成することが難しい場合におすすめなのが、養育費保証サービスを利用する方法です。
養育費保証サービスは、元配偶者からの養育費の支払いが見られないときに、保証会社が立て替えて支払ったり、元配偶者への支払いの催促の連絡を行ったりするサービスです。毎月保証料を支払うことで、確実に養育費を受け取ることができるうえ、相手へ連絡しなくても済むのでストレスになることもありません。
養育費保証サービスを提供する企業はいくつかありますので、本記事では株式会社Casaの「養育費保証PLUS」を例に紹介します。
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養育費の支払い期限ははっきりと決めておきましょう
成人年齢が18歳に引き下げられても、養育費の受け取り期間まで引き下げられるわけではありません。とはいえ、子どもが独立するまでは必要な金額を受け取ることができるよう、離婚時にしっかりと決めておき、強制執行認諾文言つきの公正証書を作成しておきましょう。なお、養育費の不払いに備えたい方は、養育費保証サービスの利用もおすすめです。